ECBは金融引き締めへ

欧州財政危機と金融引き締め

FXの達人さんによる2016年から17年の為替相場焦点まとめ

2016年から17年にかけ今後の数カ月間、外国為替市場の参加者は、①中東の政情不安、②わが国の大震災、③欧州の財政危機(ユーロ危機)、④中国のインフレの4片からなる複雑なジグソー・パズルを組み解かねばならない。結論を先に述べれば、筆者は、円安が進行する可能性大とみている。

ECBは金融引き締めにむくだろう!

EU統計局が3月1日に発表したユーロ圏17力国の2月の消費者物価(CPI)上昇率(速報値)は前年比2.4%となり、エネルギー価格の上昇から、3ヵ月連続で欧州中央銀行(ECB)の政策目標である「2%未満」を上回った。

 

また欧州委員会は、同日発表した2011年経済予測のなかで、ユーロ圏のCPI上昇率予測を、原油価格と食料価格の上昇を背景に、2.2%と大きく上方修正している。

 

さらに、ECBが3月3日に公表した経済予測でも、2011年の物価上昇率が2.3%と政策目標の「2%未満」を上回り、トリシエ総裁は、同日の記者会見で[物価の上昇リスクがある]と明言。物価動向次第では「4月にも利上げの可能性がある」と述べている。

 

上述の通り、世界的な過剰流動性と中東の政情不安が招いた資源価格の上昇によって、ユーロ圏ではインフレ懸念が強まっている。さらにECB理事会では、価格変動の大きい食品・エネルギーを除いた「コア・インフレ」という範躊で物価判断をすべきという意見は少数派である。

 

したがって、ECBは、今後数カ月間に開催される理事会(5月5日、6月9日、7月7日)において、現在1%に据え置いている政策金利を引き上げる可能性が高まっており、これを受けてユーロ相場も、当面、上昇圧力を受ける公算が高い。

FX投資雑感

円の独歩安トレンド明確に。年末に向けて1ドル90円台へ上昇。 さて今年も終わりになりかけているが2016年から17年までの予想を考えてみたいと思います。短期的には、中東情勢の混乱、わが国の震災による先行き不透明感から、ドル円相場にはダウンサイド・リスクが残る。ただ、円売り介入に対する警戒感も強く、欧州では、利上げ観測と財政懸念が交錯するため、主要3通貨に明確なトレントを求めるべきではない。あえて言えば、中国の引き締め政策を受けた中国元買いが望ましい。しかし、わが国経済が震災被害からの復興期に入り、中国経済の減速が明確になり、加えて、米国の量的緩和の解除が現実味を帯びてくれば、円の独歩安トレンドが明確となる可能が高い。ドル円相場は、年末に向けて90円台へ上昇するとみている。

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